エッセンシャル思考
今回は「エッセンシャル思考」をご紹介したいと思います。
多くの人は「あれもやりたい」「これもやりたい」とやりたいことに胸膨らませることがありますが、やりたいことが多すぎてどれも手つかずになってしまうことがよくあります。この本では、そんなマルチタスク気味で本当になりたいことが出来ない状態から、本質的に注力すべきことに一点集中するためのテクニックやマインドをたくさん紹介しておりますので、要点を学んで実生活に活かしていきましょう。
書籍情報
著者 | グレッグ・マキューン(訳者:高橋 璃子) |
出版社 | 株式会社かんき出版 |
出版日 | 2014/11/17 |
ページ数 | 307ページ |
目次 | 【PART1 エッセンシャル思考とは何か】 ・第1章:エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考 ・第2章:選択―選ぶ力を取り戻す ・第3章:ノイズ―大多数のものは無価値である ・第4章:トレードオフ―何かを選ぶことは、何かを捨てること 【PART2 見極める技術】 ・第5章:孤独―考えるためのスペースをつくる ・第6章:洞察―情報の本質をつかみとる ・第7章:遊び―内なる子供の声を聴く ・第8章:睡眠―1時間の眠りが数時間の成果を生む ・第9章:選抜―もっとも厳しい基準で決める 【PART3 捨てる技術】 ・第10章:目標―最終形を明確にする ・第11章:拒否―断固として上手に断る ・第12章:キャンセル―過去の損失を切り捨てる ・第13章:編集―余剰を削り、本質を取り出す ・第14章:線引き―境界を決めると自由になれる 【PART4 しくみ化の技術】 ・第15章:バッファ―最悪の事態を想定する ・第16章:削減―仕事を減らし、成果を増やす ・第17章:前進―小さな一歩を積み重ねる ・第18章:習慣―本質的な行動を無意識化する ・第19章:集中―「今、何が重要か」を考える ・第20章:未来―エッセンシャル思考を生きる ・最終章 :エッセンシャル思考のリーダーシップ |
著者略歴 | シリコンバレーのコンサルティング会社THIS Inc.のCEO。エッセンシャル思考の生き方とリーダーシップを広めるべく世界中で講演、執筆をおこない、アップル、グーグル、フェイスブック、ツイッター、リンクトイン、セールスフォース・ドットコム、シマンテックなどの有名企業にアドバイスを与えている。ハーバード・ビジネス・レビューおよびリンクトイン・インフルエンサーの人気ブロガー。スタンフォード大学でDesigning Life,Essentiallyクラスを開講。本書および共著書『Multipliers:How the Best Leaders Make Everyone Smarter』は、ともに米国でベストセラー入りしている。2012年には世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出された。 |
このような方にオススメ!
「頼み事になかなかNoといえない方」
日本人は特に文化的に該当する人が多い気がしますが、何か頼み事をされても「No」と言えない方には本書はオススメです。頼み事をして断ると人間関係が悪くなることを恐れて、とりあえず「Yes」と答えてしまいがちですが、そのような人生を続けていれば、一生他人のための人生を生きることになってしまいます。本当にやりたいことに集中したいのであれば、勇気を持って「No」と言わないといけませんが、そんな「No」を言いやすくするテクニックを本書では紹介しているので、学んで「断り上手」になりましょう。
「やりたいことがたくさんあって収集がつかない方」
やりたいことがたくさんあると、何から手をつければいいのかで頭が混乱し、結局何一つ手がつかないといったことはよくあります。そのような思考を「非エッセンシャル思考」と呼ばれていますが、非エッセンシャル思考のままでは本質的に注力すべきことにリソースを割くことができない状態なので、非エッセンシャル思考からエッセンシャル思考に切り替えて、自分の力を最大限に発揮するためのマインドでやりたいことに臨みましょう。
「何かを始めても三日坊主になりがちな方」
やりたいことを目標として定め、いざ行動を開始したとしても数日で三日坊主になってしまうことは本当に多いです。何故なら、私たちの周りにはスマートフォンや人間関係、簡単に手に入る快楽物質が溢れかえっているので、そのような環境で過ごしていれば誘惑に負けてまた元通りというのがオチです。エッセンシャル思考を身につければ、本当に注力すべきことに集中し、注力すべきこと以外のことは捨てるようになるので、たとえ周りに誘惑が溢れていても動じなくなります。なかなか継続できないという方は本書で習慣のメソッドを学ぶとよいでしょう。
私も昔は何か頼まれたら「ハイ、喜んで!」と答えていたコッテコテのイエスマンでしたが、本書を読んで「基本断る」というスタンスを続けていたら、本当になりたいことに集中できるようになりましたね。
この本をまとめると?
「人生の本質的要素を見つけ出す手がかりとなる本」
多くの人は会社のため、家族のため、友人のため、社会のため、世界のため等他人のために生きていることがほとんどですが、本当に自分にとって大事なことだとは思えないことを背負っています。確かに、誰かのために自分の力を尽くすのは素晴らしいことですが、そうなると「自分の本当にやりたいこと」が段々とぼやけていって、終いには「自分の人生は何だったのだろうか」と悟ってこの世を去ることにもなりかねません。「あれもこれもやる」とたくさん抱えるのではなく、自分にとって本当にやりたいことにフォーカスを当てて、最高のパフォーマンスを発揮すれば、自分がやりたいことが実現できるでしょう。そんな注力すべきやりたいことを見つけるヒントとして、本書を活用頂ければと思います。
他人に流される人生を続けるというのは、ある意味で「楽な人生」ではありますが、その代償として自分の意志を殺すことになります。他人の人生を生きるか、自分の人生を生きるかは自分次第です。
得られる知恵は?
「目標に一点集中するための知恵」
やることが多すぎて何から手を付ければいいのか分からなくなってしまう非エッセンシャル思考のままだと、為すべき目的がいつまで経っても達成することが出来ません。為すべき目的に集中するためにはエッセンシャル思考を身につける必要があり、エッセンシャル思考が身につけば必要なことにはリソースを注ぎ、不要なものは切り捨てるといった判断が容易にできるようになります。エッセンシャル思考は意識していないと油断するとすぐに非エッセンシャル思考に戻ってしまうこともしばしばあるので、「基本断る」「不要なものは捨てる」「本質目標を立てる」等を本書から学んで知恵としてご活用頂ければ幸いです。
時間やお金は有限であり、分散して投下するとどれも中途半端になってしまいがちです。達成すべき目標を定めたら、とにかく一点集中し、他のことは捨てる覚悟で行動しましょう。
知恵獲得レベル
(Level.3)
書いてある内容はタイトルの通り、シンプルで必要な部分を分かりやすく表現しているので頭に入ってきやすいと思いますが、外国の書籍なので翻訳の都合上、文章が堅く感じるところがしばしばあります。また、本のページ数のベンチマークを200ページと定義すると、本書は300ページと若干ページ数が多いので、読書を始めたばかりの人からしたら歯ごたえがある本だと感じられると思われるので★3としました。
知恵を得るためのポイントは?
「集中すべきことに絞り、不要なものを取り除く」
冒頭から度々述べている通り、「あれもこれも」とやるべきことが分散されていると、結局「二兎を追う者一兎をも得ず」となり、結果としてどれも中途半端で終わってしまうことがあります。中途半端で終わらせないためには、集中すべき目標を一点に絞り、それ以外のものは排除するといった、ある意味でミニマリストのような考え方が必要です。例えば、「会社で出世したい」という願望を叶えるために営業担当として「上司に成果を貢献する」「新規開拓をする」「既存取引先から販路を拡げる」「広告媒体を増やす」等色々と試してみるものの、どれも中途半端になってしまい、結局何一つ成果が出なかったというオチになりがちです。そうではなく、いくつかアクションリストを挙げるものの、とりあえずは「新規開拓をする」という行動に一点集中し、それ以外の行動は一旦全て捨てるといったように割り切ります。ですが、一点集中したとしても結果が出るかは分からないので、ある程度行動して結果が出なければ、捨てたアクションリストの中から別のアプローチを試すといったPDCAを回すことが大切です。
「エッセンシャル思考の基礎は「選択」「ノイズ」「トレードオフ」」
本書ではエッセンシャル思考の基礎となる考え方は「選択」「ノイズ」「トレードオフ」の3つであると書かれております。「選択」とは自分がリソースを投下すべきかを選択することで、集中すべきかどうかの選択です。「ノイズ」はいわゆる集中を阻害する要因であり、重要でないことについては捨てる覚悟が必要です。「トレードオフ」は複数ある選択肢の中で、複数の選択肢全てを選ぶことは基本的に不可能であり、全てを選ぶと良い結果は生まれないことを指します。この3つの考え方を人生に取り入れることによりエッセンシャル思考を理解していくことができます。
「エッセンシャルサイクルを回す」
エッセンシャルサイクルを回すとは、複数ある選択肢の中から本質的で重要なことを「見極め」て、選択した選択肢以外は「捨てる」と決め、最小限のリソースで最大の成果を生み出すように「しくみ化する」ことを言います。例えば、ランチの時間になって何を食べようか迷った時に、選択肢として「ラーメン」「カレー」「うどん」の3つが候補として挙げられた場合、周りの人達は「カレー」をランチとして選んで誘ってきても、自分は「ラーメン」が食べたい場合は迷わずラーメンを選択するようにします。そして、毎回ランチに悩むことが無駄なので、月曜日は「ラーメン」、火曜日は「カレー」、水曜日は「うどん」といったように曜日ごとにランチを定型化することで、判断しなくても満足するようなしくみ化が出来上がります。このようなサイクルを回し続けることによって無駄がどんどん省かれていき、為すべき目標が達成できるようになります。
一点集中するのも大事ですが、時には「ふりかえり」も必要です。その一点集中すべき目標からズレた行動をし続けると、永遠に目標には近づかなくなってしまいますので、適宜チェックする癖をつけて、場合によっては方向転換も検討しましょう。
アクションプラン
「孤独な空白の時間を作る」
エッセンシャル思考を身につけて本質目標に向けて行動するには、周りのノイズを断つのが不可欠です。周りの人から何かをお願いをされたり、何かしらのお誘いを受けた場合はハッキリと「No」と言えないことが多いですが、ちゃんと「No」と言えなければ、いつまで経っても目標に集中することが出来ません。そこで、まずはノイズを消すために孤独な時間を意図的に作るように心掛けましょう。例えば、「20時から21時は読書の時間に充てるので、よっぽどのことがない限りは別の予定は入れない」と決断しておくことです。このようにしておけば、周りからお誘いを受けたとしても「その時間は読書の時間だから、ごめんなさい」と断ることが出来ます。このように書くと、「そんなことしたら付き合いが悪い奴だと思われる」という反論があるかと思いますが、そのような状態だといつまで経っても非エッセンシャル思考から抜け出すことはできないでしょう。
「他人の頼みごとにNoと言う」
繰り返しになりますが、「No」と言えなければ永遠に他人の人生を生きることになります。慣れないうちは罪悪感を感じることが多いと思いますが、慣れてくると、とりあえず「No」が自然に出るようになるので徐々に習慣化していくと良いでしょう。ですが、あんまりストレートに「No」を言い続けると角が立つのは事実なので、オススメとしては「Sorry+No+Because+Sorry構文」を使うといいでしょう。例えば、友人から飲み会に誘われた場合、「申し訳ないけど、行くことはできないんだよね~。この時間は勉強しなければいけないんだよ~。本当にごめんね!」というように「ごめんなさい」をサンドイッチのように挟み込むと柔らかい表現になるのでご活用ください。ちなみに、この構文を使って嫌な顔をされたら、そもそも関係性のレベルが低いので何れにしても縁が切れていくと思います。
「何か取り組む場合は「早く小さく」始める」
三日坊主になる要因の一つが「目標が高すぎる」ことです。行動の当初はモチベーションが高く、とりあえずがむしゃらに取り組みますが、人間である以上モチベーションを一定に保つというのは極めて難しいので、いずれは必ず落ちていきます。目標が高すぎると、その過程における成功体験が乏しいのでモチベーションは下落の一途を辿り、気づいたら行動を止めていたということは度々起こります。そのようなモチベーションの低下を防ぐためには「早く小さく」を心がけるとよいでしょう。例えば、「東証プライムに上場する会社を作る」と崇高な目標を掲げたとしても、全くの事業素人であればただの大口叩きになってしまいます。そこで、まずは目標として「個人事業を始める」ところからスタートして、事業を軌道に乗せることから始め、うまくいかなければ撤退して別のビジネスを始めるといったアジャイルで動くようにすると、成功確率が高くなります。
何かと理由をつけて始められないのが人間の性ですが、そのスタートのハードルを極限までに低くすると、ステップアップしやすくなるので、まずは目標を細分化して小さい目標達成を狙いましょう。
まとめ
現代のような情報で溢れかえっているような社会だと、ほとんどの方が非エッセンシャル思考で生きていくことになりがちですが、何かしらの目的を掲げて行動するような志のある方は、「何に集中すべきか」を絞り、「何を捨てるか」を見極め、最小のリソースで目標を達成するためにエッセンシャル思考に切り替えていけば成功する確率がグッと高まると思いますので、本書の知恵を活用して頂ければ幸いです。
本記事では、知恵を得るために事前にインプットしておきたい情報のみを厳選して記載しておりますので、本書の知恵を得たいと思った方は実際に手にとって読んで頂ければ 幸いです。